短歌・俳句

 

ひこばえも 健気にありて 夏木立

 

新しき 思い出残し 夏去りぬ トンボ群れ飛び 空紺碧に

 

朝駆けす 早や涼風が 朝の気に

 

目覚めれば 君のうなじのほつれ髪 寝息やすらに ゆらゆら揺れる

 

手に取れば 若き日のこと 君のこと 思い出させる 古きアルバム

 

いい香り 浴衣の君の 風呂上り

 

こゆるぎで 夏波に乗り 遊んでは 君の肩抱き 夕日を見よか

 

浜歩き 朝市寄りて 朝餉かな

 

今という 時しか人には 無いのです

 

夕焼けで 思い出あるの ふるさとに

 

夕焼けを 独り見ている 足止めて

 

暮れなずみ 夕日が富士を 赤く染め

 

梅雨晴れ間 人生もまた 晴れ曇り

 

来るはずも 無し君を待つ 梅雨月と

 

卯波来て 海歌聞かせ 磯洗う

 

梅雨細り 君いつ来るか 庭を掃く

 

ラッキョ漬け 紫蘇揉みすんで お茶を飲み

 

天国は これより綺麗か 梅雨晴れ間

 

寂寥と 人は言うなり さにあらず 梅雨道濡れて 独り歩けど

 

紫陽花に アゲハひらひら ゆらゆらと

 

弁天池 湧水に映ゆ 月見草

 

五月闇 蛍はまだか 上沢辺

 

始発待つ 人は半袖 風みどり

 

厚き雲 梅雨はそこにと 告げたげに

 

悲しくて 鳴くにはあらず ホトトギス

 

かなめ町 濡らす五月雨 みどり色

 

照ヶ崎 釣果を囃す にわか雨

 

石清水 求め秩父時 青き踏む

 

博文も しかと見にけり 大磯の あおばと波と 戯れ遊ぶ

 

終いの地と 決めしこの町 要町 善き人多く 歩くも楽し

 

冬枯れの 秩父花野に 春思う

 

陽だまりに 子らの歓声 かの地では 家なくパンなく さまよう母子

 

棒道は 紅葉敷きつめ 春を待つ

 

八十越せば 余生は天の 授けもの 痛し痒しは 生あるあかし

 

夢の間の 今こそ遊べ 秩父路に 華厳の滝は 永遠に流れる

 

リンゴむく 母のくちびる とがってる

 

母の剥く リンゴの味を もう一度

 

妹と 浴衣でなめた りんご飴

 

テーブルに リンゴのウサギ 誰を待つ

 

君たちの 生まれる前の 事だよと 五十に聞かせる 歳になりけり

 

山車跳ねて 子らの掛け声 秋祭り

 

楽あれと 願うこの世は 難儀に満ちる 辛苦が常と 悟れ楽あり

 

角皿に スルリ収まる 初サンマ

 

忌む人も あるらし妖し 彼岸花

 

一人咲く 群れ咲くもよし 曼珠沙華

 

曼珠沙華 愛でる右手に ソーダ水

 

​我灰は 墓花いらぬ 風に散け